刊本作品

No,40 お化け退場

昭和34(1959)年[限定400]
【印刷法】Colour Gravure【函】めおと函
148×118(mm) 頒布価格930円

 この絵は日本童画家協会展に童画として出品されたもので、当時こんなエピソードが残されている。「ある日会場で6番お化けの前に立っている十才位の女の児の態度についてそっと注目していると、だんだん画面に接近して行って顔をくっつけるようにして暫く見つめていたが、そのうちゲラゲラと一人で笑い出して一寸あきれる程長い時間お化けの前を離れなかった。僕は子の観客一人だけで充分労作の酬いられた事に満足した。」童画家・武井武雄はこどもが関心を寄せるテーマをしっかりと捉え、それを童画として完成させていたことがここでもよくわかる。
武井は近代のお化けは人間の心に入り込んで本性をあらわすという事に気づき、古風なお化けは一度退場するという設定にしている。
 この頃のグラビア印刷においては、単色はまだしも、多色刷りに関しては欧米に比べると実験段階だったと語っている。その中でオフセット・グラビア印刷の可能性を探って作られたものである。この作品は我慢会を含めた400部が頒布された。グラビア印刷は大量に刷れば刷るほどいい特性を持っているためであり、この年受賞した紫綬褒章の記念のためではないという。